
別府、地獄とくらす
なぜ別府の人は、日本一の湯を「地獄」と呼んだのか
章ごとに約1分の語りが、その場所で流れる iPhone アプリの物語です。
歩く前に、この地面のこと。
ごぼり、と地の底から音がします。足の下の地面は、割れています。
ここは大分県別府。時代は奈良時代——西暦710年から794年にあたるころ、この土地は『豊後国風土記』という書物にすでに記されていました。地面の割れ目から湧いてくるのは、ふつうの温泉ではありません。深さ200mの泉脈から噴き上がる、90℃を超える熱湯です。柵の外から見るしかない、人が入れない湯です。
この色を見た人々は、それを「きれい」とは呼びませんでした。「地獄」と名づけたのです。なぜ、日本一とも言われる湯を、地獄と呼んだのか。それが、この物語の背骨です。
答えは、坂の上から下まで、いくつもの池に分かれて置かれています。青く澄んだ海地獄。灰色の泥が坊主頭のように膨らんでは弾ける池。神さまに供える飯を熱湯の噴気で炊いた池。もとの名を捨てて白い名に変えた池。そして、血のように赤い、いちばん古い池。
なぜ——それは、その場所で。最初の一歩を踏み出したら、足元の湯けむりが、1300年の跡に見えてきます。
バスで鉄輪へ、地獄を順に。
亀の井バス「海地獄前」から歩きはじめ、章の順にめぐります。
番号の順に歩きます。現地では、アプリが次の章まで道案内します。
5つの章
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01 ・ バス停から徒歩1分海地獄
うみじごく約1200年前 — 山が空けた、青い穴海のように青い、けれど人は入れない池があります。
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02 ・ 前の章から徒歩4分鬼石坊主地獄
おにいし坊主じごく明治〜平成 — 坊主に見えた地面、屋号だった名前灰色の泥が、ぼこぼこと膨らんでは弾けています。
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03 ・ 前の章から徒歩6分かまど地獄・鬼山地獄
かまどじごく・おにやまじごく古来〜1923(大正12)年 — 神さまの飯を炊き、地熱に命を宿す坂を下ると、かまどの形をした穴から絶え間なく湯気が上がっています。すぐ隣には、もうひとつの地熱の使い道があります。
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04 ・ 前の章から徒歩2分白池地獄
しらいけじごく昭和 — 名前を変えた、白く濁る池澄みきった湯が、地上に出た途端に白く色を変えていきます。
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05 ・ 前の章からバスで約10分血の池地獄・龍巻地獄
ちのいけじごく奈良〜平成 — 恐ろしい名が、看板になった日バスに乗って北へ向かうと、池全体が真っ赤に染まった場所があります。すぐそばでは、間欠泉が規則正しく噴き上がっています。
その場所に立つと、聴こえる。
ごぼり、と音がします。いま、あなたの足の下で、青い水面(すいめん)が湯気を吐いています。近づいてはいけません。この水は約98℃——手を触れれば、ただではすみません。柵の内側は、湯ではなく熱湯の池なのです。この地面は、割れています。時は約1200年前、平安のはじめのころ——鶴見岳(つるみだけ)が噴火し、山が空けたこの穴から、200mもの深さの泉脈が地表へ通じました。つまりここは、湯が湧く場所ではなく、地の裂け目そのものだったのです。
つづきは、アプリで。第1章は無料です。
所要・料金・行き方
- 起点
- 別府駅西口/亀の井バス2・5・24・41系統(鉄輪行き)で約20分、「海地獄前」下車
- 所要
- 徒歩約1.0km・バス2区間・所要約2時間半(滞在含む)
- 拝観料
- 共通観覧券(地獄めぐり7地獄)大人2,400円
Sources寺社・自治体などの公式資料にもとづくノンフィクションです。
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